BLACK ESCAPE

Roppongi Express所属 / 強豪選手たちに囲まれもがき苦しむ日々をブログに

看護師と競輪選手

自転車を一週間ぶりに組み立てた。
やっとショップにも車体を持っていけてそのまま全体の点検を受ける。

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主な被害はブラケットカバーの削れ、サドル後部の削れ、前後ホイールのリム傷、リアディレーラーのずれ、ローターの擦りくらいで、記憶が曖昧ながら結構な勢いで電柱に突っ込んだ気がするがDi2系統にも異常は無いしスポークやフレームも無事だったのは奇跡的だった。

あらゆる致命傷をことごとく免れた今回の落車。危うく初レースでVengeが無くなってしまうかと。ショップの山本さん、いつもありがとうございます。

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擦過傷5日目夜の出来事。
持つべきものは飲み友達、とはよく言ったもんで、「最近飲みこないけどどうしたの?」とたまにフラッと一人で飲みに行く店の店長から連絡を受ける。たった2週間行ってないだけなんだけども。「レースで事故って飲んでる場合じゃない」と伝えたら「それなら店おいで」と返される。なんだこの人話聞いてたのか?と思いつつ、こういう時は何かしらの意味を持っている事が多いのでなんか意図があるのだろうと足を運んでみる。

その道中で別の常連(360日酔っ払ってる看護師)からLINEが飛んできて「板ちゃん(あだ名)何時に着くの?あたしも今から行く」と伝えられ、同時にこれまた別の常連(知らない人)も呼びつけたと。連絡回るのが早過ぎるのもツッコミどころだがそれより酒場連中のフットワーク軽すぎでしょ、と思いつつ店へ。とりあえず烏龍茶頼んだらビールが出てきた。なんなのこの店。飲むけどさ。

看護師と合流後、症状を聞かれ素直に答えると個室トイレに連れて行かれ患部に巻いていたサランラップ湿潤療法の一環)を剥がされる。クサっ!!と馬鹿にされながら便座に座っている自分と目の前でしゃがんでいる看護師。ズボンを捲り上げられなんともアダルトな体制の中、どこで買ってきたのか大量の精製水で洗浄をされ、これまた大量のキズパワーパッドを張り巡らされる。そして「今後はこれこれこういう流れで処方していけ」とのアドバイス。普段はベロベロで人間として死にかけている看護師もこの日は頼もしい。
後述するがこの処方が奇跡の快方へ向かわせる事に。

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その30分後になんと京王閣を主戦場とする競輪選手登場。この店にたまに来るとは聞いていたが会ったのは初めて。看護師に理由も言われずただ「飲むぞ」と呼ばれたらしい。恐るべし女帝。競輪選手を初めて間近で見たがジーパンの太もも部分どうなってるの。以前の会社の影響で新日レスラーとは飲む機会が多くあるので身体的な大きさには慣れていたはずだが、競輪選手の太ももは別格だった。

そしてある程度想像は付いていたが自分の怪我を知った店長が看護師に連絡、その看護師が連絡先を知っていた競輪選手を呼んでくれたのだと。競輪選手を呼んでくれるとはやるなこのおばさん。すでに治療そのものはしてもらったので飲むついでに看護師&競輪選手から色々と教えてもらう。競輪選手と言えば擦過傷の達人(失礼?)みたいなものなのでひたすら興味を持って話を聞かせてもらった。

話をまとめると擦過傷には
①消毒禁止で水(もしくは精製水)で洗浄
②ジュクジュクが多く出ているうちはサランラップを巻いてその上からガーゼで吸収
③ある程度ジュクジュクが止まってきたらキズパワーパッドを張り巡らす
④パッドからジュクジュクがはみ出してきたらその部分にパッドを追加
⑤そのまま自然に剥がれかけてくるまで放置
⑥自然に剥がれかけてきたら全て剥がして患部を水or精製水で軽く流す
⑦新しいパッドに交換して①〜⑥の繰り返し
⑧決して傷口を乾燥させない
といった感じが良いらしい。

自分なりに湿潤療法を調べていたので表面上の知識としてはほぼ頭に入っていたが、看護師も競輪選手も共通して言っていたのは「キズパワーパッド最強説」だった。

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病院で処方してもらうものより確実に早く綺麗に治るらしく、患部を保湿しながらの状況下においては抜群の吸水力を持つらしい。そして防水性も非常に高いのでシャワーも心配無く浴びれると。ここまで言われたら導入するしか無いという事で次の日に交換用のキズパワーパッドを大量購入。そしてその翌々日に全身のパッドを交換してみたら…

一番ひどい怪我となっているスネはさすがにまだ時間がかかりそうだったものの、次にひどかった腕周りを含むほとんどの箇所が劇的に良くなっていた。いや、正確には完治にはまだ遠いのだけどたった3日で薄い膜が張られ、一切のジュクジュクも無くなって指でなぞれる程に。こりゃ凄い。

まだズキズキとした痛みは残るものの今の自分からすれば相当前に進んだ気分でかなりテンションが上がってしまった。その場のテンションで剥がしたキズパワーパッドの写真をTwitterに上げたらキモ過ぎるとクレームきたので写真は削除してブログでも自粛。今後の自分のメモ用としても、経過を含めた擦過傷の治療については完治後にでもまとめてみようと思う。この駄文に溢れたブログを読んでくれているというTさんから教えてもらったズイコウパッドも試す予定。

そういった出来事がありながら明日でちょうど落車から10日を迎える。まだ膝の曲げ下げがうまくいかずまともに自転車へ乗れていないが、それでも一週間ぶりに数kmながら自転車に乗れた。久々に感じるブラケットの感覚とサドルの感覚、そしてビンディングの感覚。あともう少しの我慢だ。

なお、ビンディング外す際に傷が痛んで全く外せず、足がもげそうになりながら数分かけてやっと外した。危うくビンディング恐怖症になりかけたが、今考えれば先にシューズ脱いで手で外せば良かったのか。

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擦過傷6日目

日曜日のレースで落車をして今日で6日目。いまだに右足の痛みが強く練習どころか自転車もSciconに入ったまま出せていない。というか車に積んだまま。右足の上下運動が困難でしゃがむ事が出来ず、自転車の組み立てすら今の自分にはハードルが高い。そして踏ん張れないのでSciconが車から引っ張り出せない。

落車初日〜3日目はスプレーでガチガチに固めていたけど、東京に帰って来た4日目からは湿潤療法に切り替え。チームメイトのもやっしーさんが湿潤療法を丁寧に教えてくれ、同時に競輪選手のブログも参考にしてキズパワーパットを導入。そして水道水に比べて圧倒的に傷口にしみないという精製水も大量消費中。

最もひどいと思っていた右上腕部は思ったほど大した事無いのだが、右足の広範囲な傷がズキズキと痛んで辛い。横になっている時と座っているときは不思議と辛くないので仕事などには影響ないのだけど、立ち上がった瞬間の最初の30秒が身動き取れない程に痛む。これが強烈。ロキソニンが全く効かなかったので今はバファリンを飲んでなんとか日中を過ごしているがこの辺りがピークだと信じたい。あちこちにある打撲は軽傷レベルなので全く気にならないが右足のむくみがまだ残っているので元々重い足が余計に重たく感じる。

それにしても自転車に乗れないので日々の生活の中で仕事以外する事が無くなった。なぜかこのタイミングで色々と誘われる飲みも自粛中。自転車いじりも出来ないし生活から自転車が無くなると相当暇なんだなという事を実感する。まあ代わりに仕事が捗って良いのだけど、少なくとも落車でダメージを受けた車体をショップに持っていくくらいはしたい。あまりにも暇になるので無駄に車を走らせて遠目のカフェを転々としてみたり。

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今は割り切って怪我の治療に専念すべきと頭ではわかっているが、サイクリングレベルでも良いから自転車に乗りたいなぁと思ったり。宮古島のレース前にモチベーション下がっていたはずなのにいきなり急上昇。ある意味、怪我の功名か。
ノーライド5日目な今日。
今日も走れる気は全然しないので大人しく一日を消化しよう。

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宮古島TRIP Vol.3

1日目
朝一の便で羽田を出発して11時過ぎには宮古島入り。この日は東京が猛暑だった様でむしろ宮古島が避暑地の扱い。今回の旅は予約が混雑していたのか直行便が全く確保できずに那覇経由での往復路となってしまった。到着後はサイクリングしながら昼食を済ませ、その後にトレーニングライドへ。

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それにしても初のスルーアクスル輪行。リアのローターが完全に擦れていて一瞬終わったかと思ったが少し走っていたら自然と修正。調整工具は持っていたものの、やった事の無い処理を出来るのかが不安だったので間一髪で事なきを得た。レース二日前なので軽めに流しつつ、レースコースを逆周する感じで30km 60TSSほど。夜は何度か行った事のある地元の居酒屋で。途中からチームメイトのヤギさんも合流しつつ、最後はキクと飲み倒した。ASS(アルコール・ストレス・スコア)220。

2日目
二日酔い。そういえばキクとの旅行で2日目を二日酔い以外で過ごしたことが無い様な。昼食後にチームメイトのヤギさんと合流してキクと3人で伊良部島から下地あたりを一時間ほどライド。明日のレースに備えて決してペースは上げず、どちからと言えば景色を存分に楽しむサイクリングの様な感じ。それにしても下地の景色は絶景だ。

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夜はビールも4杯にとどめて焼肉屋でカーボローディング。明日のレースに備えて23時には就寝。

3日目
ツール・ド・宮古島に出場。レースレポートは以下より。
レース後の夜(昼)は盛大に飲んだ。チームメイトのヤギさんに連れて行ってもらい、主に地元の人達が集まるコンビニ酒場で飲む。みんな同じレースに出ていた人達なので自転車談義で盛り上がりながら泡盛の回し飲みなど宮古島らしい事も経験。その後はお店を変えて串カツ屋。ここには中尾さんや北野くん、佐藤さんや優勝したジェイなど136km組の主役達が勢揃い。

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擦過傷を体内からアルコール消毒すべくとにかく飲んで盛り上がってお店をハシゴして約10時間。落車による傷が少しずつ痛み始めて後半は色々辛かったが、とにかく楽しかったので全てOK。解散後は大人しくそのままホテルに帰宅。帰宅した記憶は無いが。ASS 250。

4日目
朝から擦過傷が非常に痛む。そして二日酔いのWパンチ。高岡さんに「二日目が一番痛い」と言われていたが見事に痛い。朝から全くテンション上がらずに痛み止めを飲んでようやく普通の状態。傷口を乾燥させるスプレーを大量に補給しながらヨチヨチ歩く。昼前から伊良部島のカフェに行ってレースレポート書いたりゆっくりと過ごしたが自転車には乗れそうもなくホテルで小休憩。ベットのシーツに大量の血をつけてしまって申し訳ない気持ち。シーツ交換不要の札を貼っておいて良かった。

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夜はまた地元の居酒屋に。宮古に住んでいる若者(といっても29歳だけど)と合流して飲みつつこの日もアホみたいに酒を飲む。飲んでいる間は擦過傷の痛みも紛れるのでちょうど良かった。途中でキクが先にホテルへ戻り自分はそこから二時間ほど飲んで帰宅。知らない間にキクのベットでキクに寄り添って寝ていたという根底の何かが疑われる睡眠方法。ASS 300。

5日目
昨日散々飲んだのに不思議と二日酔いがほとんど無い。まあ8時間くらいぐっすり寝れたからな。この日も昼食は伊良部島。体が熱っぽくてしんどいうえに擦過傷が乾ききってしまい歩く度に激痛が襲う。一度も足を運んだことが無かった池間島へドライブなどしつつフライト時間までのんびり。足の腫れと痛みで上下運動が出来ず、この日も自転車は乗れなそう。キクには乗ってきて良いよと言ったが自分に気を使ってくれて宮古島最終日を現地ノーライドにさせてしまった。

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夕方に自転車を積み込んで東京へ。機内の気圧影響にやられてひたすら擦過傷の痛みに悶えつつなんとか帰還。大量に買い込んだ応急処置グッズで正式に対処をしつつ、傷の匂いに反応して度々襲ってくる愛犬と戦いながら就寝。今回も思い出深い旅となった。

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今回のレースで意識不明のまま亡くなったしまった方がいた。同じ自転車競技を趣味としている者として非常に残念であり、同じ落車に巻き込まれ、その現場にいた者として他3名の方の早期回復も祈っています。

競技と落車は切っても切れない部分があるし、勝負事の中で自制心をかけるのは非常に難しい部分もるけれど、やはり安全第一をもっと優先に考えなければいけないなと改めて考えさせられるレースとなった。

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