BLACK ESCAPE

Roppongi Express所属 / 強豪選手たちに囲まれもがき苦しむ日々をブログに

キプチョゲの調整法

以下の記事が非常に面白かった。

キプチョゲといえば昨年に人類初のフルマラソン2時間切りを達成した事であまりにも有名。間違いなく今のナイキシューズフィーバーの発端であり、サイクリストには馴染み深い「INEOS」がメインスポンサーとなっていた事でも話題となった。

上記の記事はそのキプチョゲが来日したイベントでの取材記事。細かな内容は上記記事を読んでもらうとして、このブログでは内容をサイクリスト版に変換しながらまとめていければと。

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ピークは年2回

マチュアサイクリストでいえば年2回のピークは概ね「ニセコクラシック(6月)」と「ツール ・ド・おきなわ(11月)」あたりが主要だろうか。

選手によってはニセコではなく「全日本選手権(6月)」や「世界選手権(9月)」などが主要になってくるので年間通してキプチョゲの様に4月と10月といった綺麗なプランの組み立ては中々難しいが、その辺りはリカバリーフェーズと準備フェーズをうまく調整していけば良さそう。

まず、カレンダーを見て年に2回ピークにもっていくように練習計画を組み立てる。ピークは4月と10月になることが多いという。
(中略)

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3段階のフェーズ分け

次に目標レースに向けた半年を3段階に分けて、練習内容と意識を変えていく。レースが終わった直後の2カ月間はリカバリーフェーズ、次の2カ月が準備フェーズ、直前2カ月が試合フェーズだ。それぞれのフェーズの中にも細かいサイクルがあり、時期によって取り組む練習の質を変えていくのだという。

キプチョゲの場合、目標レースに向けたトレーニングは4ヶ月前から開始されるとの事なので、仮にツール ・ド・おきなわから逆算するとしたら
05月〜06月:リカバリーフェーズ
07月〜08月:準備フェーズ
09月〜10月:試合フェーズ
といった組み立てになるだろうか。

3段階のフェーズについての詳細は以下の通り。

リカバリーフェーズ(レース前6〜5ヶ月)

リカバリーフェーズは心身を回復させる期間だ。気持ちをリラックスさせてゆったりと過ごす。といっても、まったく休んでしまうわけではない。コーチもキプチョゲ選手も“アクティブリカバリー”という考えが重要だと口をそろえる。

準備フェーズ(レース前4〜3ヶ月)

例えば、月曜日にロングランをやったら火曜日はトラックでスピード練習、土曜日にもう一度スピード練習を入れ、水、木、金、日のうちどこかでファルトレクをやって、残りはリカバリーランにする。ロングランは時期によるが30km~40kmくらい。インターバルも時期によって1000m、1200m、1600m、2000mをミックスしてやる。ペースを聞いたらロングランはキロ3分20秒、インターバルはキロ2分40秒くらいとのことだった。

試合フェーズ(レース前2ヶ月〜当日)

直前2カ月は試合フェーズだ。レースに向けてコンディションを整える。ベルリンマラソンの前は1200mのインターバルを1日13本繰り返したという。ペースは400mあたり67秒~68秒、キロあたりに換算すると2分50秒前後である。準備フェーズよりはややゆっくりだ。

リカバリーフェーズは単純に自転車を楽しむ様な期間。仲間とポタリングを楽しんだり一人でサイクリングを楽しんだり。そこから準備フェーズに入って徐々に通常練習へ戻していき、試合フェーズでインターバル練が多くなっている印象。

おきなわ前のトレーニングでは多くの人が「距離の乗り込み → インターバル」へと移行していくと思うので、種目は違えど同じエンデュランススポーツとして非常に参考となる部分が多い。

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追い込みはレース8日前まで

こうした追い込み型の練習はレースの8日前で終了する。そこから当日まではリカバリーに徹するという。

おきなわでいえば11月に入った瞬間からリカバリーに移行する感じだろう。 これもおきなわを目標とする多くの選手に共通する内容に思える。キプチョゲによってその調整方が間違っていなかったと裏付けされた形。

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シンプルな練習を休まず続ける

特別なことは何もない。キプチョゲ選手はこうしたシンプルな練習をストイックに“休まず”続けている。コーチからは「スタートラインに立ったときに自分が最高だと思えるように準備することが重要だ」とよく言われるという。

この文中の「休まず続けている」というのがシンプルかつ重要なキーワードなんだろうと思う。とあるベテランサイクリストと飲んでいた際に「強い選手だったのにいつの間にかいなくなってしまう人も多い」と言っていた言葉が蘇る。強い人はオフシーズンと言えども自転車には継続して乗っているし、それを「何年も続けている」からこそ小さな積み重ねが大きな力となって蓄積されている。

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キプチョゲ選手がもうひとつ強調していたのが走ることを「楽しむ」ことだ。そのためには、好きであることが大切だと繰り返した。「ランニングを愛して、レースを楽しむ」「(レース中は)リラックスした自由な心で楽しんでいる」

なんだかんだ、これが最も大事な事か。

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引用元となっている関連記事。非常に読みやすくて面白い内容です。

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