BLACK ESCAPE

Roppongi Express所属 / 強豪選手たちに囲まれもがき苦しむ日々をブログに

プロのレビューは信用出来るのか

マチュア業界の中で2019年は間違いなくVenge元年となった。SBC紺野くんと高岡さんによるツール・ド・おきなわ二連覇を中心に、強豪選手が軒並みホビーレースで好成績を出し、自分が購読しているブログでも次々とVengeのインプレが登場。

2020年もその勢いは維持したままな様で、とあるショップでも未だ予約待ちが続いていると聞いた。ちなみにRX内だけでも約半数がVenge。

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あくまで個人的な意見となるけど「アマチュア選手のレビュー」に比べて「国内プロ選手のレビュー」があまり信用出来ないと思う事が多い。自転車は機材スポーツなので仕方ないのだろうか、と思ったが他ジャンルの機材スポーツを見るとそうでもなくこの業界特有のものらしい。

機材に限らずとも野球なりサッカーなりテニスなり陸上なり、「何かしらの道具」を使うスポーツは数知れず。その多くのスポーツはほぼ、上流に位置するプロの影響を受けて下流に降りてくる。しかしその中で、自転車業界は明らかにプロよりもアマチュアの影響を受ける方が多いのではないだろうか。

毎年この時期になると、新シーズンに採用されたフレームのレビューが国内プロチームのオフィシャルで公開される。代表的な内容といえば
・まるで身体の一部かの様な
・初めて乗ったとは思えない
・史上最高のバイク
・何も欠点が見つからない
・まさに求めていたバイク
など。
要点を抜粋するだけで一つの文章が出来てしまう。

中には本当にそう思っている選手もいるだろうが、毎年繰り返される絶賛の嵐を見るたびに「去年も言ってなかったか?」「そもそも去年の史上最高はどこいった?」という思いが増すばかり。同時に「もし現役を引退し、自腹でバイクを買うとなった際にもこの絶賛フレームを選ぶのだろうか?」と思う。そこまで絶賛するならきっと自腹を切ってでも乗るんだろう。そのレビューが本当なら。

しかし残念ながらこれに対する答えは間違いなくNO。なぜなら自分の知る限り、現役時代に過去最高と評していたそのフレームに引退した選手が乗っているのを見たことが無いから。供給されたフレームに対するレビューと自費で選ぶフレームは全く一致しない。これでは信用性に欠けるのも仕方ないなと。

プロはスポンサー絡みの余計な制約はあっても「そのフレームに対する感情」がないと感じる。一方であらゆる情報を元に自分の意思でフレームを決め、自分のお金で購入し、自分の思った事をレビューするアマチュア選手は、スポンサー絡みの余計な制約がない代わりに「そのフレームに対する感情」がある。だから信用できる。

もし国内プロの選手が自由にフレームを選ぶとしたら、もし現状のフレームメーカーとVengeどちらでも選んで良いよと言われたら、各選手はどのフレームを選ぶのだろう。きっと絶賛している今の供給フレームを選ぶんだろうな。そのレビューが本当なら。

決して特定のチームを批判したいわけでも特定の選手を批判したいわけでもない。スポンサーがいる限り悪い事は言えないし心から望むフレームに乗れないのも分かっている。が、それが結果的に信用性を無くしているとしたら何だか悲しい現実だなと。

このままではフレーム(に限らず)供給メリットが少なすぎてスポンサーも次々と撤退していくんじゃないだろうかと勝手に危惧している。

もしかしたら近いうち、「国内プロ選手に供給するよりもアマチュア選手へ供給した方がコストも安く影響力も高い」となって徐々にそんな流れになってくるんじゃないかな。そうなったらプロの世界はどうなってしまうんだろう。

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