BLACK ESCAPE

Roppongi Express所属 / 強豪選手たちに囲まれもがき苦しむ日々をブログに

ツール・ド・おきなわ 2019 応援記

今年も一年の集大成と言われる大会が終わった。
自分自身はレースに出れなかったものの、運良く現地でチームメイトを応援する事が出来たので大満足。普段の自分が出ないレースでは皆んなの写真なんかを撮って過ごしているけど、今回は非常に緊張感を持って過ごしていたので一枚も写真を撮る事が無かった。
その代わりに最高の写真を。

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※Photo by cyclowired - (c) Makoto Ayano

この2枚の写真があれば十分だろう。
高岡さんが最高峰の210kmで通算6度目の優勝。
そして50kmオープンでも遠藤さんが見事に優勝。
細かく調べた訳では無いけど、ツール・ド・おきなわで同一チームが同一年で複数ジャージを獲るというのは結構なレアケースではないかな。特に210kmの優勝が絡むとなると過去にあったのかどうかというくらいの確率。というより「チームメイトがツール・ド・おきなわカテゴリいずれかのチャンピオンジャージを持っている」という事がまずはすごい確率なんだけど。

210km・50km同様に140kmオープンの面々も強力な布陣で優勝を狙っていたがWエースの落車などもありそれは叶わなかった。最高の準備をしてもたった一つのキッカケでその全てが崩れる可能性がある。ツール・ド・おきなわという各カテゴリの日本一を決めるレースタイトルは想像を絶する程に困難な道のりなのだと改めて感じる。

そんな中でも高岡さんが王者奪還。
その喜びをチームで分かち合える事の楽しさ。
応援しか出来なかったがそれを十分に味わえた。

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当日は応援場所まで那覇空港付近から自走で。
早朝に空港付近へたどり着きシーコンやら手荷物を一通り預け、最小限の荷物だけ背負って7:40頃出発。現地までの距離は60kmちょいなので沖縄なら2.5時間あれば着くと思っていたけど58号線が非常に信号多い+毎度捕まる+青になるまでが長いで想定より時間がかかってしまった。

車だと高速乗っている場所なので、幾度となく沖縄に来ていながら下道は初という場所をひた走る。何十個とある信号待ちの度にレース中継を見ていたが全てチャンピオンレースの映像しか拝めなかった。

道中半ばで遠藤さん50kmオープン優勝との吉報。
景色の変わらない退屈な道にいたが急にテンション上がって同じ景色を楽しく走る。人間の感情って単純だな。そんなこんなで残りの30kmを走って現地(ゴール地点)へ。

チーム関係者を探すが誰もいなかったので一人で軽食だけ食べてライブ中継を楽しむ。しかし90%がチャンピオンレースだった。観戦側からすると市民とチャンピオンの映像が別れていれば最高だな。まあこの大会の運営陣ならいつかは実現してくれるだろう。

軽食食べて観戦ポイントとして決めていた羽地へ向かう。基本的にコースの規制がかかり始めていると歩道側しか走る場所がなく、Ave.15km/hくらいしか出ないのでちんたら走るが沿道には結構人がいるもんだ。レース中なんて生きてる感情を失っている区間なので景色をまともに見たの初めてかも。

しかしここで初観戦のミスが。想像より規制かかるのが早くって羽地の頂上まで行けるかが怪しくなって来た。随所にいるスタッフに確認しながら急いでコースを逆走するが頂上まで残り1kmの関門で足切り(通行止め)をくらう。

その場が下りで目一杯スピード出る箇所だったので仕方なく折り返して微妙な上り返しの超マニアックな場所へ陣取り。陣取りと言っても自分とキモい虫しかそこにはいないが。場所が決まってからはひたすらライブ中継を見ながら過ごし、羽地で抜け出した増田選手を筆頭にチャンピオンレースの選手が続々通過。

「なんでこんなとこに人がいるの?何こいつ?バカ?」みたいな目線を浴びせられながらチームメイトが来るのを待つ。程なくしてチャンピオンレースがゴールしたと共に映像が市民210kmメインへと切り替わった。

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※Photo by cyclowired - (c) Makoto Ayano

羽地のトンネル前で5人に絞られていた先頭。そこに高岡さんが写っている。自分の場所を通過するのはあと数分後。ここで一番迷ったのは何という声援を送るのか。頑張れというありきたりな言葉は掛けたくないが、この限界に近い状態で迎える局面で掛けるべき言葉も見つからない。

さて、どうしよう、と迷っている間に高岡さんが羽地最後の区間でアタック。そこに張り付いたのは井上さんと松木さんのみで、森本さんと持留さんがここでドロップ。その瞬間に電波状況悪くなり映像が止まる。えーーーーー!笑

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※Photo by cyclowired - (c) Makoto Ayano

映像を失ったので後はモトバイクの音に耳を澄ませ本人の姿を待つのみ。そろそろかな?とそわそわしながらついに高岡さん先頭で姿を捉える。その瞬間、一気に感情が無心になって声援を送っていた。結局出た言葉は「頑張れ」というありきたりなものだったけど、姿を見て咄嗟に出た言葉がそれだったから間違いでは無かったんだろう。

レースに集中している高岡さんがこちらを見る事は決して無いが、ゴールに向かう苦しい場面でこの声がほんの少しでも後押し出来ればという思いだけで2019年最も大きい声を出した。残りはまたライブ中継見ながら祈るのみ。

高岡さんがゴールする前に木村くんともやっしーさんが通過。表情からしてレースの過酷さが伝わって来る。そして怪我なく無事にここを通過している事に安堵。少ししたタイミングで高岡さんがゴール前のスプリントに。前から捉えられる映像で見ているとどの程度の差があるのかが分かりづらいが井上さんが少し離れていたのは分かった。

純粋なスプリントだと松木さんの方が強いはず。その反面で10kmしか走っていない時と210km走った後の最大出力がほぼ変わらないという高岡さん独特の優位な点。松木さんが高岡さんとほぼ横並びになった。非常に長く感じるこの数秒間。映像だとどちらが勝ったか分からなかったがゴール後に手を上げた高岡さんの姿を見て優勝を確信した。

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※Photo by cyclowired - (c) Makoto Ayano

その瞬間一人で笑みをこぼし映像から目を話す。同時に目の前を単独で通過した選手と目が合う。一人で笑いながらその選手を見ている男と化した自分は「何だこいつヤベー奴だな」と思われただろうが仕方ない。これほど興奮した瞬間は無かった。その後に通過した210kmのチームメイトにこの吉報を伝える。西山さんがそれを聞いて雄叫び上げていた。おきなわでの勝利はそれくらいの勝利という事だ。

その後も残りのチームメイトを応援しながら140kmの通過を待つが先頭集団で通過したのはタカミのみ。そこにいるはずの永瀬さんとキクの姿は無く、程なくして通過した永瀬さんから落車があったことを聞く。

さっきまで持っていた喜びの感情が悔しさに変わった瞬間、このレース最大のエースにして全てをこの日にかけていたキクの姿が。たった一言の言葉を交わし、既にペダルを踏みやめていたその後ろ姿を見送る。普段から二人で過ごす時間が長い分、何も聞かなくとも後ろ姿を見るだけでその感情が痛いほど分かる。

そこからレースの邪魔をしない様に沿道を超低速で走りながら最後に神田さんの姿を確認。出走したチームメイト全ての無事を見届けて皆んなの集まるゴール地点へ。

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夜は毎年恒例の打ち上げ。
高岡さん・遠藤さんの優勝を分かち合いながらチームメイトが集結する貴重な機会を楽しむ時間。遅れて到着したら既に福田さんがベロベロだった。一次会を終えて二次会はこちらも毎年恒例の宿飲み。そしてレース翌日はキクと二人で晩酌。17:40から飲みまくって12時間後の6:00に飲み終えた。数時間寝て沖縄そば食べて東京へ。

一昨年と去年はレースに出る側だったので観戦自体は初だったけど本当に楽しい一日だった。RXに入っていなければチームとして戦っている姿を見る楽しさを知る事は出来なかっただろうし、何よりここまでの興奮を味わう事は出来なかった。もしかしたら「観戦」は今年が最初で最後だったのかもしれない。来年はまた出場選手として頑張るぞ。

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写真は全てこちらの記事から使用させて頂きました。
毎年の事ながら素晴らしい写真の数々です。

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