BLACK ESCAPE

Roppongi Express所属 / 強豪選手たちに囲まれもがき苦しむ日々をブログに

S-works Venge ファーストインプレッション

f:id:satoru-itabashi:20190502121002p:plain

三日前に納車となったVenge。
次の日から早速ロングライドへ出かけ、GW最終日となった昨日もその走りを楽しんだ。例のごとくインプレッションは「一ヶ月乗り込んだ後よりも最初の印象の方が正確」なのではと思っているので早々にインプレ記事を書いてみる。一つ前のブログにも書いたけど、先に結論を書くのであれば ”迷っているなら買うべき” となる。それ程までに好印象。

機材構成
自分の車体はS-worksのフレームとなっている。しかし実際はVenge Proと同じ構成である。S-works完成車で買った訳ではなく、フレームとコンポとホイールを別々に購入して組み上げた。以下に機材構成をまとめておくけど「Venge Pro完成車と全く同じ機材構成」と考えて頂ければ問題ない。フレームの質はロゴ以外何も変わらないので「S-works」ロゴだろうと「Specialized」ロゴだろうと見た目以外の違いは何一つ無い。
なお、今回は先週までメインで乗っていたTarmac SL6(リム)との比較がメインとなります。とりあえず両車の機材構成比較は以下の通り。

f:id:satoru-itabashi:20190507092642p:plain

現状でタイヤ&チューブが新型バルブの影響でとりあえずクリンチャー(S-woks Turbo 26C + ブチルチューブ)という仕様。新しいバルブが届けばSL6時代と同様に即チューブレス化させる予定なので、現時点でのインプレより乗り味は今後さらに良くなるかも知れない事を事前に明記しておく。

立ち上がりは弱め
あえてマイナス面から書くと立ち上がりは決して強くない。ストップアンドゴーに関して言えば間違いなくTarmacに軍配は上がるが、スペシャ自体がそういう特徴を持ってそれぞれを分別しているので当たり前と言えば当たり前でもある。極端な例を出すと、大磯クリテの様に500mごとに立ち上がりを求められるインターバルコースにおいて、「集団内で過ごす場合」は間違いなくTarmacに軍配があがるだろう。
反対に、同じ大磯クリテのコースでも「逃げによる独走を狙う」なら間違いなくVengegが優位なのではないか、という気がしている。ブレーキング&立ち上がりの機会が増えれば増えるほど、その間隔が狭まれば狭まるほどVengeの特徴は失われていく印象だが、高岡さんや紺野くんがVengeで大磯を勝ちまくっている現実を見れば、立ち上がりが弱いという影響は自分が思っているよりも少ないのかも知れない。

一段違うギア比
Vengeを評価するうえで最も好印象だった部分。それが「足を止めても速度が落ちない」という部分。下りは圧倒的である事に間違いないが、下りだけでなく平地巡行でもその影響は随所で感じる。一度速度が乗ればその維持能力はSL6と比較してケタ違いで、SL6が300w分進む為に320wを要していたとしたら、Vengeは足回りに全くロスを感じないので300w分踏めばきっちり300w分進む印象。その影響でいつの間にかケイデンスが高くなり自然とギアが一枚重くなっている。
実力の9割は自身のエンジンだと思っているのでレース結果での話は正確に出来ないが、例えばエンデューロなどで感じるその1割の優位性は想像以上なのではないかと思っている。今週末に控えるレースでVenge初戦を迎えるが、そのレースでの走りがどれ程のものかを体感してみたい。ひたちなかというコースレイアウトもVengeと相性ピッタリ。少なからずロングライドや一人で乗っている感覚では明らかにSL6の時より少ない力で同じ速度を維持出来ている印象。

スルーアクスルの好影響
クイックレバー時代にはナカガワエンドワッシャーという優秀なパーツがあった。小さなパーツだがその小ささとは反比例するかの様に大きく重要な効果を生み出したアイデア商品。スルーアクスルはそのさらに上をいく。踏めば踏むほどダイレクトに力が伝わって足回りの余計なしなりを最小限にしている。残念なのはコーナーリングが下手なのでその恩恵を100%受けていない部分があるが、圧倒的なコーナー上級者であるまこっちさんなんかは全く別物に感じるらしい。これはコーナー初級者である自分の印象より遥かに信頼性が高い。
もう一つ、スルーアクスルの影響とは限らないがヨー角からの風に対して非常に強くなった。SL6の時と同じリムハイトのホイール(50mm)を履かせているが、これまでであれば風の影響を受けていたであろう風速でも全くヨレる感じは無く、直進性に優れ常に安定している。この安定感がより車体を前に進めてくれるだろう。

f:id:satoru-itabashi:20190505183209j:plain

フレーム買いの選択肢
S-works Vengeの完成車は¥1,350,000。いくら優秀でもただの趣味にここまで使うのは一般的に勇気がいる。であればフレーム買いの選択肢もありではないかと。今回の自分の様にS-worksのフレーム(¥558,000)を単体で購入し、足りないものだけを追加で補えば良い。今回自分が買ったのは「フレーム+Di2コンポ(Ultegra)+ホイール(CL50)」の三点セットのみ。細かく言えばタイヤなども入ってくるが予備があればそんな物は必要ない。S-worksフレームの完成車より全体的なグレードは落ちるけど最も重要なフレームは手に入るうえにトータルでは安い。自分の場合はS-works完成車で買っていてもどうせクランク(Specialized)とホイール(CLX64)は変える事になるのでむしろフレーム買いの方が余計な手間が省けて良かったと思っている。
あまりにも人気で注文してからも時間がかかる人続出らしく、「どうせ買うならさっさと決断を」という言葉がもしかしたら正しいのかもしれない。

総評
以下に一通りの印象をまとめてみた。それぞれを文章化するとあまりに長くなるので今回も簡潔に。

f:id:satoru-itabashi:20190507100022p:plain

以前い書いたSL6のファーストインプレッションと比較してみると面白いかも知れない。SL6も非常に良いマシンである事に代わりは無いし今もそう思っているけど、実際Vengeに乗った後思ったのは「SL6もしくはリムには戻れない」に尽きる。今年は確実にディスクブレーキの元年であり、スルーアクスル時代の到来だ。Vengeは良いぞ。本当に。

+ + + + + + + + + +