BLACK ESCAPE

Roppongi Express所属 / 強豪選手たちに囲まれもがき苦しむ日々をブログに

フィッティングとは何か

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一年程前にフィッティングを受けた。それも一週間に二度。正確にはフィッティングの次の日にフィッティングを受けた。もちろん同じ場所ではなくそれぞれ違う場所で。

フィッターへの要望はどちらも同じ内容を伝え、特に二日目のフィッティングは一日目のフィッティングで出されたポジションをそのまま持って行った。要は別のフィッターが出した適正ポジションを違うフィッターに診てもらう、という独特なフィッティング。

当時に伝えた要望は以下の様なものだったと思う。
・今のポジションに不満は無い
・ただしそれが正解なのかは分からない
ポタリングでは無くレースをメインで行っている
・自分に合ったアクティブポジションを探りたい
・基本はお任せで自由にポジションをいじってOK

結論から言うと2回目のフィッティングで1回目のポジションはガラッと変わった。

1回目に出されたポジションは「ゴール前までをいかに快適に走り足を残せるか」という考えに基づいた少しアップライトなポジションで、2回目は「無理のない低姿勢を維持しやすくして空気抵抗を抑える」という考えに基づいたポジション。

出している要望は同じなのだけどステム差は10mm、サドル高で5mm、サドル前後で8mmとかなりの差が生まれる結果に。クリート位置はほとんど変わらなかったけど1回目に比べて2回目のフィッティング結果はかなりアクティブポジションとなっている。

その後、この2回で出されたポジションをそのまま再現して1週間交代でそれぞれ走ってみるというのを3ヶ月程繰り返した。その後の結果どうこうは今ここで重要ではなく、それよりも重要なのは「同じ要望に対して全く異なるポジションが弾き出された」という事実。さらに重要なのは両フィッターとも同じ考え方を基盤としているフィッターだという事。フィッティングとは一体何なのだろうか。

未だにフィッティングに対しては批判的になってるわけでも無いし、フィッティングによって適正なポジションを得ることが出来たという人も多いからきっと意味があるのだとは思う。結局今は自分の感覚でポジションをいじっているから両フィッティングによる結果とは異なるポジションにいるのだけど、この2人から受けたポジションの考え方を参考にしている部分もある。自分の場合、フィッティングによって得たものは「ポジションそのもの」ではなく「ポジションに対する情報」だった。これはこれで価値があるから無駄だとは全く思っていないのだけど。

ほとんどの人は(プロでない限り)フィッティングを一度受けたら少なくとも半年は再度フィッティングを受ける事は無いと思うけど、今の体の状態に対して弾き出されるポジションが「フィッターによってかなり異なる」事を考えると同じ時期に複数受けてみる必要があるのかも知れない。何が正解か明確な答えがポジションに無い以上、疑う事も必要だ。

ここまで書いてみたもののフィッティングを否定する気は全く無くて、あくまで連日受けてみたら全く違うポジションが出たよ、という話。ポジションは何十万通り、もしくはもっと多くのバリエーションがあって、自分で100%の正解を見つける事はほぼ不可能。その中で「こういう考え方だとこの辺りのポジションが良いよ」というある種の指標や的を絞ってくれるのはかなり有難い。どう文章を組み立ててもフィッティングを否定的に捉えている内容になってしまうのだけどそれは違う。むしろまだ一度もフィッティングを受けた事が無い人はフィッティングそのものをかなりオススメします。知らなかったたくさんの知識や考え方を聞けるのでとても参考になる事は多かったし。

そんなこんなで近々またフィッティングを受けてみようかと思っている。去年と同じく、また同じ様な要望を出して連日受けてみようと。幸せな事にチーム内にはハムスタースピンの福田さんがいるので直接聞けば大部分は解決するのは明白だけど、まだまだ「自転車」に対して無知であろう自分は自分の頭で考える作業が必要だなと感じる。知識の面をもっと勉強しないと。

この一年でフォームや走り方は随分と変わってきた。次のフィッティングはあくまで「今の自分に適正と思われるポジションの的を探る」という意味と、より自分でポジションを追求していく為の知識を得る事がメインになると思う。