BLACK ESCAPE

Roppongi Express所属 / 強豪選手たちに囲まれもがき苦しむ日々をブログに

その機材は本当に必要か

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最近、機材差について考える事が多い。今乗っているフレームは完成車で30万円いかないミドルグレードで、価格相応の重量があるしコンポもクランクのDura-ace以外はUltegra、電動でも無ければホイールもミドルグレードと完全な初心者〜中級者仕様となっている。

ロードバイクが流行の兆しを見せはじめてからというもの、レース会場に足を運ばなくとも街中を走っているだけで高級フレームに次々と出くわす。そのフレームにふさわしい著名な上級カテゴリの人もいれば、「えっ?」と思う人まで、フレームは人を選ばず言われるがままに巨体を運んでいく。

ちょうど一年前、初のJBCFレースにしてDNFとなった鴨川クリテというレースがあった。当日のE3クラスタは3グループに分かれていて僕は最終グループで出走。レース中盤でいとも簡単に集団から千切れ、そのまま完走を目指したが全くダメだった。実業団レースという事もあり周囲は高級機材で埋め尽くされていたし、たった1レースでも1,000万以上の金額が動いている状態。今考えても単純な機材差でいえば出走した中で明らかに下から数えた方が早かっただろうと思う。

当時は今よりも知識不足だったといえば言い訳になるが、実力云々の前に機材差におけるハンデを自分の中の言い訳にしていた気がする。「もっと軽いフレームなら立ち上がりが楽なのに」「電動だったら変速でもたつかなかったのに」など機材の言い訳をしようと思えばいくらでも出来るのがロードバイクというもの。反対にいえばお金を払って(多少)早くなる事も可能なのは事実で、ろくにトレーニングもしないで最新機材に取り憑かれる人が一定数いるのはこの辺りの勘違いが影響しているのだろうと思う。僕がそうだったからその気持ちは良く分かる。

そんな中、同一グループで出走し見事優勝した人のバイクが自分と全く同じフレームだった。それだけでなくホイールも同じグレードのものでコンポの構成に至ってはクランクのみDura-ace、その他はUltegraとまるっきり一緒。表彰台に添えられた車体を見ているとまるで自分のバイクが飾られている様な錯覚に陥るほど細かな部分まで似ていた。

同じ気候で同じ場所、同じ時刻で同じ機材。同じレースを走って一方はDNF、一方は優勝でE2へ。こんな現実を目の前にしたら機材差がいかに微々たる差なのかが良く分かる。同時にこの瞬間、僕の中から機材差の言い訳が無くなった。というより上級フレームを買うか迷っていた感情が完全に消えた。機材云々の前にもっと重要な事はトレーニングを積み重ねる事だと、その表彰式を見て強制的に突きつけられた。

ロードバイクのエンジンは自分自身」とか「最上位モデルに乗ってもアルミフレームでクラリスカンチェラーラには勝てない」とかよく言われるけど、当時は実際にそれをきちんと自分の中で納得出来ていなかった。機材を変えれば今より早くなると思ってたし(実際それはあるけど)、周囲との差を実力でなく機材を対象として考えていたし。

あれから一年、今年も同じJBCF鴨川クリテにエントリーした。一年は経ったがフレームとコンポは何も変わっていない全く同じもの。唯一ホイールだけが1グレード上に。

JBCFに初登録した2017年は全レースでDNFだった。機材のせいではなく単純な実力不足だと今は分かる。E3クラスタで未だに一度も完走した事がないのでJBCFでの獲得ポイントもゼロ。チーム内でも空気の様な時があるがJBCFのレースでも完全な空気だった。たまに思うのだけどここまで結果が何も無いのはJBCFに登録している選手の中でただ一人、自分だけではないだろうか。

そんな中でも周囲から励まされながら、この一年間腐る事なく練習はコツコツと積み上げてきたつもりだけど、結果はどうなるか分からない。もしかしたら「これだけ練習してきてもまたDNFか」という史上最大の絶望を味わうかもしれないという特殊な恐怖に包まれている。まだレースは1ヶ月以上先なのに。

今年は結果がどうであれ機材に言い訳を求めず、自分の実力不足として受け止める。結果が出ないならトレーニングを積むしか勝つ方法は無いと分かっているし。2018年、JBCFでのレースへきちんと参加する為に、今日も小さな1日を積み重ねる。