キプチョゲの調整法
以下の記事が非常に面白かった。
キプチョゲの年間スケジュールとレース前の調整法が書かれた記事。年2回のピーク、3段階のフェーズ分け、追い込み型の練習はレースの8日前まで、など同じエンデュランススポーツとしてとても参考になった。https://t.co/qIb0FnA33p pic.twitter.com/dNWU0Hjp56
— BASHI(RX) (@bash1boy) 2020年2月8日
キプチョゲといえば昨年に人類初のフルマラソン2時間切りを達成した事であまりにも有名。間違いなく今のナイキシューズフィーバーの発端であり、サイクリストには馴染み深い「INEOS」がメインスポンサーとなっていた事でも話題となった。
上記の記事はそのキプチョゲが来日したイベントでの取材記事。細かな内容は上記記事を読んでもらうとして、このブログでは内容をサイクリスト版に変換しながらまとめていければと。
+ + + + + + + + + +
ピークは年2回
アマチュアサイクリストでいえば年2回のピークは概ね「ニセコクラシック(6月)」と「ツール ・ド・おきなわ(11月)」あたりが主要だろうか。
選手によってはニセコではなく「全日本選手権(6月)」や「世界選手権(9月)」などが主要になってくるので年間通してキプチョゲの様に4月と10月といった綺麗なプランの組み立ては中々難しいが、その辺りはリカバリーフェーズと準備フェーズをうまく調整していけば良さそう。
まず、カレンダーを見て年に2回ピークにもっていくように練習計画を組み立てる。ピークは4月と10月になることが多いという。
(中略)
+ + + + + + + + + +
3段階のフェーズ分け
次に目標レースに向けた半年を3段階に分けて、練習内容と意識を変えていく。レースが終わった直後の2カ月間はリカバリーフェーズ、次の2カ月が準備フェーズ、直前2カ月が試合フェーズだ。それぞれのフェーズの中にも細かいサイクルがあり、時期によって取り組む練習の質を変えていくのだという。
キプチョゲの場合、目標レースに向けたトレーニングは4ヶ月前から開始されるとの事なので、仮にツール ・ド・おきなわから逆算するとしたら
05月〜06月:リカバリーフェーズ
07月〜08月:準備フェーズ
09月〜10月:試合フェーズ
といった組み立てになるだろうか。
3段階のフェーズについての詳細は以下の通り。
リカバリーフェーズ(レース前6〜5ヶ月)
リカバリーフェーズは心身を回復させる期間だ。気持ちをリラックスさせてゆったりと過ごす。といっても、まったく休んでしまうわけではない。コーチもキプチョゲ選手も“アクティブリカバリー”という考えが重要だと口をそろえる。
準備フェーズ(レース前4〜3ヶ月)
例えば、月曜日にロングランをやったら火曜日はトラックでスピード練習、土曜日にもう一度スピード練習を入れ、水、木、金、日のうちどこかでファルトレクをやって、残りはリカバリーランにする。ロングランは時期によるが30km~40kmくらい。インターバルも時期によって1000m、1200m、1600m、2000mをミックスしてやる。ペースを聞いたらロングランはキロ3分20秒、インターバルはキロ2分40秒くらいとのことだった。
試合フェーズ(レース前2ヶ月〜当日)
直前2カ月は試合フェーズだ。レースに向けてコンディションを整える。ベルリンマラソンの前は1200mのインターバルを1日13本繰り返したという。ペースは400mあたり67秒~68秒、キロあたりに換算すると2分50秒前後である。準備フェーズよりはややゆっくりだ。
リカバリーフェーズは単純に自転車を楽しむ様な期間。仲間とポタリングを楽しんだり一人でサイクリングを楽しんだり。そこから準備フェーズに入って徐々に通常練習へ戻していき、試合フェーズでインターバル練が多くなっている印象。
おきなわ前のトレーニングでは多くの人が「距離の乗り込み → インターバル」へと移行していくと思うので、種目は違えど同じエンデュランススポーツとして非常に参考となる部分が多い。
+ + + + + + + + + +
追い込みはレース8日前まで
こうした追い込み型の練習はレースの8日前で終了する。そこから当日まではリカバリーに徹するという。
おきなわでいえば11月に入った瞬間からリカバリーに移行する感じだろう。 これもおきなわを目標とする多くの選手に共通する内容に思える。キプチョゲによってその調整方が間違っていなかったと裏付けされた形。
+ + + + + + + + + +
シンプルな練習を休まず続ける
特別なことは何もない。キプチョゲ選手はこうしたシンプルな練習をストイックに“休まず”続けている。コーチからは「スタートラインに立ったときに自分が最高だと思えるように準備することが重要だ」とよく言われるという。
この文中の「休まず続けている」というのがシンプルかつ重要なキーワードなんだろうと思う。とあるベテランサイクリストと飲んでいた際に「強い選手だったのにいつの間にかいなくなってしまう人も多い」と言っていた言葉が蘇る。強い人はオフシーズンと言えども自転車には継続して乗っているし、それを「何年も続けている」からこそ小さな積み重ねが大きな力となって蓄積されている。
+ + + + + + + + + +
キプチョゲ選手がもうひとつ強調していたのが走ることを「楽しむ」ことだ。そのためには、好きであることが大切だと繰り返した。「ランニングを愛して、レースを楽しむ」「(レース中は)リラックスした自由な心で楽しんでいる」
なんだかんだ、これが最も大事な事か。
+ + + + + + + + + +
引用元となっている関連記事。非常に読みやすくて面白い内容です。
+ + + + + + + + + +
Zwiftログデータの復旧方法
昨日はZwift × 2。
Zwift / 1:09'38 45.0km 820KJ 74TSS
Zwift / 50'10 18.9km 527KJ 44TSS
1本目はグループライドに参加。
2本目はスプリント系のグループワークアウトなど。
しかし2本目、無事にワークアウトやり切ってゴールと思ったらその瞬間にアプリダウンでログ消滅。トレーニング後の仕打ちとして最も強烈ないじめを受ける。
広く知られているのか分からないけどZwiftの場合、万が一アプリが落ちてログが無くなっても簡単に復旧が出来る。過去にアプリ落ちは3回経験しているがいずれも問題なくデータ復旧に成功。というわけでログの復旧&アップロードなど。ついでに自分への備忘録を兼ねて以下に手順を。
①待機
Zwiftは消滅した様に見えるデータも裏でバックアップを取ってくれている。その更新頻度は噂だと10〜20分ごとで、何もせず少し時間を置けば消滅したはずのデータも自動バックアップされる。なのでとりあえずは30分程待つ。ちなみに自分は待ってるのが面倒なので次にPC触るタイミング(翌日など)で確認&更新している。
②ファイル検索
Macの場合は「Finder > 書類 > Zwift > Activities > 該当ファイル(例:2020-02-06-17-40-49.fit)」に.fitファイルが自動更新されている。Windowsの場合は「Documents > Zwift > Activities > 該当ファイル」。たまに同じ様な日付・時刻のファイルが2つあるけどだいたいは最新の方が正解。間違った方をアップロードすると「データがありません」とエラーが出るので、そんな時なもう一方のファイルを選べば問題なし。
③手動アップロード
上記の場所から該当ファイルを拾ったら、あとはCyclo-SphereなりGarminなりTrainingPeaksなりStaravaなり自分の好きな場所へ手動アップロードして復旧完了。
使用頻度が多いというのは勘弁して欲しいけど、もし今後、Zwift中にログ消失のシーンなどがあったらぜひお試しあれ。ドラッグ&ドロップ+クリックのみで終わるので誰でも簡単に、5分もあれば終わります。
+ + + + + + + + + +
もともとブログを見てくれていた方々には薄々勘付かれているかも知れないけど今月からブログの中身を模索中。これまでの様なトレーニング日誌+αの「+α」を使って色々と実験してみようと思っています。
+ + + + + + + + + +
プロのレビューは信用出来るのか
アマチュア業界の中で2019年は間違いなくVenge元年となった。SBC紺野くんと高岡さんによるツール・ド・おきなわ二連覇を中心に、強豪選手が軒並みホビーレースで好成績を出し、自分が購読しているブログでも次々とVengeのインプレが登場。
2020年もその勢いは維持したままな様で、とあるショップでも未だ予約待ちが続いていると聞いた。ちなみにRX内だけでも約半数がVenge。
あくまで個人的な意見となるけど「アマチュア選手のレビュー」に比べて「国内プロ選手のレビュー」があまり信用出来ないと思う事が多い。自転車は機材スポーツなので仕方ないのだろうか、と思ったが他ジャンルの機材スポーツを見るとそうでもなくこの業界特有のものらしい。
機材に限らずとも野球なりサッカーなりテニスなり陸上なり、「何かしらの道具」を使うスポーツは数知れず。その多くのスポーツはほぼ、上流に位置するプロの影響を受けて下流に降りてくる。しかしその中で、自転車業界は明らかにプロよりもアマチュアの影響を受ける方が多いのではないだろうか。
毎年この時期になると、新シーズンに採用されたフレームのレビューが国内プロチームのオフィシャルで公開される。代表的な内容といえば
・まるで身体の一部かの様な
・初めて乗ったとは思えない
・史上最高のバイク
・何も欠点が見つからない
・まさに求めていたバイク
など。
要点を抜粋するだけで一つの文章が出来てしまう。
中には本当にそう思っている選手もいるだろうが、毎年繰り返される絶賛の嵐を見るたびに「去年も言ってなかったか?」「そもそも去年の史上最高はどこいった?」という思いが増すばかり。同時に「もし現役を引退し、自腹でバイクを買うとなった際にもこの絶賛フレームを選ぶのだろうか?」と思う。そこまで絶賛するならきっと自腹を切ってでも乗るんだろう。そのレビューが本当なら。
しかし残念ながらこれに対する答えは間違いなくNO。なぜなら自分の知る限り、現役時代に過去最高と評していたそのフレームに引退した選手が乗っているのを見たことが無いから。供給されたフレームに対するレビューと自費で選ぶフレームは全く一致しない。これでは信用性に欠けるのも仕方ないなと。
プロはスポンサー絡みの余計な制約はあっても「そのフレームに対する感情」がないと感じる。一方であらゆる情報を元に自分の意思でフレームを決め、自分のお金で購入し、自分の思った事をレビューするアマチュア選手は、スポンサー絡みの余計な制約がない代わりに「そのフレームに対する感情」がある。だから信用できる。
もし国内プロの選手が自由にフレームを選ぶとしたら、もし現状のフレームメーカーとVengeどちらでも選んで良いよと言われたら、各選手はどのフレームを選ぶのだろう。きっと絶賛している今の供給フレームを選ぶんだろうな。そのレビューが本当なら。
決して特定のチームを批判したいわけでも特定の選手を批判したいわけでもない。スポンサーがいる限り悪い事は言えないし心から望むフレームに乗れないのも分かっている。が、それが結果的に信用性を無くしているとしたら何だか悲しい現実だなと。
このままではフレーム(に限らず)供給メリットが少なすぎてスポンサーも次々と撤退していくんじゃないだろうかと勝手に危惧している。
もしかしたら近いうち、「国内プロ選手に供給するよりもアマチュア選手へ供給した方がコストも安く影響力も高い」となって徐々にそんな流れになってくるんじゃないかな。そうなったらプロの世界はどうなってしまうんだろう。
+ + + + + + + + + +